設立趣意書


 本県における住宅需要は今後10年間に120万戸が見込まれており、その6割を民間自力住宅の建築に依存しております。昨今の経済変動はきびしい影響をもたらしておりますが、県民の住宅に対する願望は依然として大きいものがあります。

 最近の民間個人住宅を取巻く環境は物価高騰に伴う建築資金の増大、新建材や新しい住宅部品の開発等の技術革新、また生活様式の変化による住宅の質の高度化、多様化により、むしろ消費者の不安を増大させております。

 このことから住宅相談機能を拡充し、ハウジングや建築資材、住宅機器の展示等を付置した情報ステイションとするとともに、建築資金や建物の構想から設計、施工完成に至る総合的なサービス機構を整備する必要が生じております。

 一方、住宅建築を担っている建設業者の大半は、その規模が小さく住宅需要に対する供給体制も殆んど整備されていないのが実情であります。このことは単に効率的な供給ができないでいるのみならず住宅の質の低下や耐用年限の短縮、価格の上昇等の重大な影響を及ぼし、持家対策の推進は著しく阻害されております。また、住宅建設にも枠組壁工法等を始めとして、技術革新の波が押しよせており、関係業界もこれへの対応にせまられております。

 これ等、両面から建設業者等に対して経営の近代化研修や技術、技能研修の実施等の指導育成が急がれております。

 以上の問題を解決する方途として、兵庫県建設業審議会は昭和47年2月25日「兵庫県住宅建築総合センターの設立について」を知事の諮問に答申し、住宅に対する総合指導体制の確立が緊急であることを指摘しております。

 この要望にこたえて、住宅、建築の総合指導機構として、県を中心とした財団法人兵庫県住宅建築総合センターを設立し、良好な民間自力住宅の建築を促進するとともに建設業界及び関係業界の健全な振興を図り、もって県民福祉の増進に寄与するものであります。


昭和50年3月 設立者代表 兵庫県知事  坂 井 時 忠